人間ドックの検査
■検査はどんな基準で選ばれているのか
 人間ドックの検査は一定の基準で選ばれています。その基準の第1は、主要な臓器の代表的な病気、少なくとも生命に重大な影響を及ぼす病気をチェックできる検査であることです。そのためには、感度・精度のよい、安定した検査でなければなりません。また、人間ドックの性質を考えれば、普通の技術で大量処理が可能な検査、結果が迅速に出る検査、安い費用でできる検査でなければなりません。もちろん安全な検査であることも大切です。

■検査項目は変化する
 人間ドックの検査項目を表1に示しました。この検査項目は年々変化しており、現在はやや減少傾向にあります。これは、重要な検査の出現によって重要性の乏しい検査を減らしてきたためと、同じ病気にかつては複数の検査が必要だったのが、精度向上によって不要な検査が出てきたためです。今後も検査項目の変化はつづき、将来的にはLDLコレステロールや前立腺特異抗原、乳がん検査、子宮頸がん検査などが必要になると思います。
表1 ドックに必要な検査項目
[ ]は実施しなくても可
必須項目
問診表 既住歴、アレルギー
診療 聴打診、肛門診[肛門、前立腺](肛門鏡)[乳房診][婦人科]
身体計測 身長、体重[肥満度]、視力、聴力
呼吸機能検査 肺機能検査:%肺活量、1秒率
循環機能検査 心電図、血圧
消化管検査 食道、胃腸検査[大腸検査を除く、内視鏡検査でも可]
X線検査

胸部X線検査、食道、胃、十二指腸X線検査

超音波検査

胆のう、肝臓、脾臓、膵臓*、腎臓[膀胱、前立腺、子宮]

たんぱく代謝 総たんぱく、アルブミン
腎機能 クレアチニン
プリンピリミジン代謝 尿酸
脂質代謝 総コレステロール、HDLコレステロール(HDL−C)、LDH−コレステロール(LDL−C)(計算式で求めても)**、中性脂肪
肝機能 GOT、GPT、γ−GTP(HBs抗原、HCV抗体)
骨代謝 アルカリ性燐酸酵素(AI−P)***
糖代謝 空腹時血糖糖負荷:食後1時間、2時間血糖、尿糖
(一日ドックではフルクトサミン、HbAlc二者択一)
貧血代謝 血算一式、血小板数
感染検査

CRP、HBs抗原[HCV抗体]

がん検査 前立腺がん検査(PSA)
尿検査 たんぱく、糖、ウロビリノーゲン、潜血反応、沈査
便検査 潜血反応(免疫法)2回、[虫卵検査](直接法)
細胞診 [喀痰][子宮]

準必須項目
必ずしも実施の必要ないもの
糖代謝 グリコヘモクロビンAlc(HbAlc)、フルクトサミン(FRA)
感染検査 C型肝炎(HCV抗体)梅毒検査[ガラス板法、凝集法]、TPHA
初回のみ検査 血液型(ABO、Rh)
*

:膵臓を描出できない場合は、その旨記載すること。

**

:LDL-C測定は直接法、空腹時に限定すれば計算値でも可。

***
:肝疾患を対象に考える場合はアイソザイムを考慮すること。

■基準値とは
 人間ドックの検査値のデータには必ず「基準値」を併記してあります。「基準値」はかつて「正常値」と呼ばれていたもので、一定の地域で健康と思われる集団のほとんどが当てはまる数値です。この基準値は施設によって差がある場合があり、現在いくつかの学会が全国共通の基準値づくりをしています。

■人間ドックでの判定法
 検査結果を判定する際、表2のような4段階の判定を行います。Dが2つに分かれているのは、症状・検査所見によっては分類不能のものがあるからです。これ以外の判定法、判定基準を採用している団体もあるので、基準値同様、将来はきちんとした統一が必要です。人間ドックの検査結果や判定は、病気の治療や予防に結びつかなければ意味がありません。わからないことがあれば質問し、きちんと理解して病気の予防と健康づくりに役立てましょう。
表2 現在行われている判定基準
異常なし
わずかな異常を認めますが、現在は日常生活に支障はありません。
わずかな異常を認めますが、現在は日常生活に注意をして経過観察を要します。
D1
治療を要します(治療中)。
D2
精密検査を要します。

(出典・人間ドックのほん第3編、わかりやすい検査のはなしより)

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